レーザーカッターの基本的な使い方と、今回いろいろな素材を加工してみた結果を織り交ぜながらレポートします。
レーザーの出力は、いろいろな素材を焼き切ることができるほど強力ですので、レンズ上にホコリとかがついているとそこに反射して、機器そのものを痛めてしまったり、設定した通りの出力がでなかったりしてしまいます。
レーザーカッターの近くに置いてある綿棒にクリーニング液を少しつけて2枚あるレンズの両面をやさしくふき取ります。
上手にきれいにするコツは綿棒をレンズ面に対して水平にすれば拭き残しもなく簡単ですよ。
材料の設置はハニカム上のステージの上に置くだけなのでとても簡単です。
天板が上がりすぎていてレーザーヘッド部と材料が干渉してしまう場合は、操作パネルの「Focus」というボタンを押して、矢印ボタンでステージを下げればOKです。
但し、2つの点に注意しなければなりません。
レーザーカッターはレーザーで材料を焼きながら、同時に空気で火を消しながらカットしていくので、けっこう強い風が材料にあたります。
紙のような軽い材料だと加工の途中で位置がずれてしまい失敗してしまうので、マスキングテープなどで動かないように固定した方が良いみたいです。
また、平行光のレーザーとはいえ、材料までの距離が安定していないとカットの線幅が変わってしまうみたいです。(原因までは実験できませんでしたが、もしかしたら消火気流の当たり方が変化するからかもしれません。)
今回は材料の一部が天板からあまり浮き上がらないように、小さめの材料サイズにして材料浮きを抑えました。
FablabKamakuraのレーザーカッターには、データ出力用のPCが接続されており、USBメモリーでデータを移動しCorelDrowというアプリケーションで開いて出力するようになっています。(CorelDrowを使っているのはレーザーカッターとの相性が良いからということでした)
CraftRoboでは右下を基準にしていたので、今回はIllustratorで左上原点の別データを作り出力をおこないました。
CraftRoboの出力プラグインは自動で原点にデータを調整してくれるので、これからは左上原点でデータを作るようにしていきます。
CorelDrowのデータ上では「最細線」の設定をするということでしたので、
Illustrator上で0.25mmの黒線に設定してあったものをそのまCorelDrowで開いて加工をしましたが問題はありませんでした。(FabLabのマニュアルでは0.01mmにすることを推奨しているので、今後は0.01mmを使っていきます。)
材料をステージに設置しガラスの蓋を閉めればいよいよ加工のスタートです。
カットを開始する前に、排気のためのに煙突の先を窓の外に出します、その次にコンプレッサーのスイッチをオンにします。
本体の操作パネルのスタートボタンを押すと、オートフォーカスが作動しステージが少し上下したあとに一気にカットが始まります。
初めての材料では、この時点で火が出るかどうかがとても気になりますが、それが過ぎれば安心して見ていられます。
今回は運良く「出火」という事態にならずに済みましたが、もし出火したり、何らかのトラブルで加工をストップしたい場合には、操作パネルの「Stop」ボタンを押すか、ガラスの蓋を開ければ加工がストップするとのことでした。
実際に加工が失敗してStopボタンを押すことがありましたが、わりと反応良く止まってくれるので助かりました。
紙や布のように軽いものをカットするときに、完全に部品が切り離されるようにデータを作ってしまうと、カットの途中の消火用の気流で大事な部品の位置がずれてしまい、最悪の場合には、他の部分のカットで傷つけられたしまったり、加工の順番によっては部品の内部のカットが正しい位置にされなくなってしまいます。
これを防止するためには、部品が完全に独立してしまわないように、周辺の材料へゲートを作り、あとからカッターなどで切り落とす方法をとる必要があります。
ます初めに、カットしてはいけない材料(主に有毒ガスが発生するという理由)とカットできない材料(主にレーザーが反射してしまい加工する熱量を作れない理由)があるので注意が必要です。
「PVC(ポリ塩化ビニル)」は加工するときにダイオキシンを発生させるため、カットはできますがルールとして加工禁止です。 お店ではPOPなどで材料がハッキリ分かるものも、購入して家に帰ると他の材料と一緒になってしまって見分けがつかなくなるので、材料を買うときから「PVCはダメよ」と覚えておくと環境にもお財布にも優しくなれます。
カットできない材料としては、広い意味で金属です。私も当初は薄ければカットできるのではないかと思っていましたが、実際は金属がレーザーを反射してしまい熱に変換されないことが原因の様です。実験で如何にも熱で加工できそうな銅箔の基盤にレーザーを当てさせてもらいましたが全く何の変化も起きませんでした。
また、レーザーが反射してしまうと、エネルギーがレーザー発生装置に逆流してしまい機器をいためてしまう原因にもなるようなので、金属がついた材料にチャレンジする人はファブマスターの田中さんに相談してみましょう。
今回はいくつかの材料をカットしてみました。別にレポートをまとめたのでそちらを参照してください。
周囲を全てカットするように小さな穴あけをすると破片がステージのハニカムを抜けて下に落ちてしまいます。その場合にはフロントの扉を開けて、ゴミを取り除きます。
FabLabKamakuraのレーザーカッターはなぜかフロントの扉が非常に固く、一瞬どこかロックがあるのかと思いましたが、単に硬くなっているだけの様です。両手でバランスよくガツンと開けるのがコツのようです。
また準備の時におこなったレンズのクリーニングをもう一度使い終わったときにもおこないます。
彫刻(Raster)加工は実験できませんでした
今回はグレー階調のデータを作ってMDFなどの材料を彫刻する実験できなかったので、次回の機会に実験してみたいと思います。